タンザナイトの特徴
12月の誕生石の1つ「タンザナイト」の石言葉は「高貴」「冷静」「空想」。その何とも言えない神秘的な青色は、高貴という石言葉が大変似合うジュエリーです。
ジュエリーの中でもタンザナイトは歴史が浅く、タンザナイトが初めて発見されたのはわずか1967年のこと。タンザニアのメレラニ鉱山で透明度の高い青い結晶が見つかったことがきっかけでした。
当初新しいサファイア鉱脈が見つかったのだと思われたこの結晶は、サファイアではなく全く新しい鉱石であり、ジュエリー界の大発見になったのです。
発見直後にはティファニーが発見された国にちなんで「タンザナイト」と名づけ、世界のジュエリー界から注目を浴びる存在に駆け上りました。
「タンザナイト」という名前の由来は、タンザニアの夜空をイメージしたものだそうです。タンザニアの夕暮れ時、キリマンジャロが夕闇に包まれる直前に、空が美しいバイオレットカラーに染まる様子が目に浮かびます。
さて当初サファイアと間違われたタンザナイトですが、サファイアがコランダムなのに対してタンザナイトはゾイサイトです。タンザナイト発見前もゾイサイトは採掘されていました。
しかしタンザナイト以前のゾイサイトは、不透明で乳白色がかったチューライトと呼ばれるピンク色のものや、不透明な緑のグリーンゾイサイトなどです。しかし透明度の高いタンザナイトは特にブルーゾイサイトと呼び区別されています。
発見当初から新ジュエリーの誕生に宝石業界から注目を浴びた「タンザナイト」は、現在産出量が激減し、ダイヤモンドよりも希少価値が高いともいわれています。なぜならタンザナイトはキリマンジャロの斜面幅2km、長さ4kmの範囲でしか採掘されないからです。
世界でタンザナイトが産出されるのは、タンザニア一国のみ。しかもタンザナイトはこの限られた鉱脈のみに存在するという、希少性が大変高い宝石です。さらに近年その採掘量は激減し、今後市場価値が上がることも予想されています。
タンザナイトの特徴は多色性です。多色性とは多方向から見ると違う色に見える性質のこと。タンザナイトは見る角度によって赤紫、濃青、黄緑に変わるとされています。
ただタンザナイトの多くはヒート・エンハンスメントによって、より魅力的なバイオレットカラーや青が強調されていますから、この多色性はそこまで顕著ではなくなっています。
ちなみにヒート・エンハンスメントとは加熱処理によって、石の美しさをより強調する加工のこと。
またタンザナイトは角度だけでなく、光源によってもその美しい色を変化させます。タンザナイトは自然光では美しいマリンブルーに、白色灯の下ではバイオレットに。そして蛍光灯の下では深い青色に輝きます。
アレキサンドライトほど劇的に色が変化することはありませんが、光源や角度によって色の深みが変わる特性はタンザナイトの大きな魅力となっています。
近年希少価値が高くなるにつれ、タンザナイトの注目度も同時に右肩上がりです。いずれ採掘されなくなる日も近いため、質の良いタンザナイトは今手に入れておくべきジュエリーの1つだといえるでしょう。
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アクアマリンの手入れ方法|透明感のある宝石を美しく保つためにするべきこと
タンザナイトの取り扱い方法・保管方法&注意点
美しく希少性の高いタンザナイトだからこそ、日ごろから石の特性を知り適切なお手入れをすることが大変重要です。ここからはタンザナイトの取り扱いや注意点などを紹介していきます。
身に着けるとき、また保管するときにはタンザナイトの美しさを損ねないよう、ぜひ正しく取り扱ってください。
へき開性を持つため取り扱いには注意
タンザナイトには「へき開性」という性質を持っています。へき開性とは特定の方向に対して割れやすいという性質のこと。そのためタンザナイトは割れに弱い石だといえます。
タンザナイトと同じ「へき開性」を持つ宝石の中にはダイヤモンドもありますが、ダイヤモンドには脆いという印象がありませんよね?それはダイヤモンドのモース硬度が高いためです。
ダイヤモンドの硬度は、ご存知の通り宝石の中でもトップクラスですから、タンザナイトとは比べものになりません。タンザナイトは硬度も低いため、取り扱いには十分注意する必要があります。
他のジュエリーとは一緒に保管しない
タンザナイトの硬度が低いことは前項で少し触れました。ダイヤモンドの硬度を10とすると、タンザナイトのモース硬度は6~7。かなり低いことが分かります。
硬度が低いうえ「へき開性」も有しているためとても割れやすく、脆い性質があり他のジュエリーと一緒に保管していると擦れることによって割れてしまうことがあります。保管する際にはタンザナイトは他のジュエリーとは分け、単体で保管するようにしましょう。
タンザナイトのお手入れ方法
保管に気を付ける必要のあるタンザナイトですが、保管方法と同時に大切なのが日ごろのお手入れです。どんな石でも日ごろのお手入れを怠っていると、美しい輝きが失われてしまうもの。
正しいお手入れ方法を覚えて、美しいタンザナイトの輝きを損ねないようにしましょう。
石鹸水とぬるま湯で洗浄
タンザナイトは硬度が低いため、大変割れやすいジュエリーですから、ごしごしと強く拭いたり、手荒に扱うことは厳禁です。しかし割れやすい性質というのは、宝石のお手入れ方法がどうしても限られてしまいます。
そのためタンザナイトは日ごろから柔らかい布で優しく拭くことが基本です。身に着けた後は、箱に入れて保管する前に柔らかい布で拭き、汗や皮脂を取り除いてからしまいましょう。
しかし身に着けていると、どうしても布で拭くという日ごろのケアだけでは表面の汚れが取れにくくなることがあります。そんな場合は中性洗剤を薄めた水で優しく汚れを取り除いてあげましょう。
ただしその場合でもゴシゴシと擦ることは避け、優しく指でなでるように洗うことを心がけてください。
超音波洗浄やスチーム洗浄はNG
ジュエリーの洗浄方法は中性洗剤で洗う方法をはじめ、超音波洗浄やスチームクリーニングなどいろいろな方法があります。
しかし割れや傷に弱いタンザナイトに、超音波洗浄やスチームクリーニングは禁物です。きれいになるどころか、割れてしまうこともあるため絶対に使用は避けてください。
どうしてもタンザニアの輝きが曇ってきて、洗浄したいという場合にはジュエリーショップで相談することが、特に高度の低い石には一番です。
せっかくの美しいタンザナイトの輝きです。損なってしまわないよう、取り扱いには十分気を付けてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?タンザナイトは美しい青色の宝石とはいえ、バイオレットがかったその青は、同じ青い石のサファイアとは少し違う魅力を放ちます。心が落ち着くようなその色合いを、ぜひご覧になってください。